工場のお仕事って、毎日同じ作業の繰り返しで、いつまでたっても成長できない、そんなふうに考えていませんか? モノを作るというのはそんな単純なものではありません。
もちろん最初のうちはオペレータとして、決められた範囲の作業を繰り返すことになります。単調かもしれませんが、そこに誰かがいないとモノはできませんから、たとえ単調であっても大切な仕事に違いはありません。
ある程度一つの作業に習熟すると、隣の作業、そのまた隣の作業について習熟する機会がおとずれます。もちろんその時も最初のうちは先輩や上司がフォローに入ってくれますから、いきなり初めての作業を一人で行うことはありません。そうやって、少しずつ、自分ができる作業範囲が拡がってゆきます。
工程内の作業に習熟していくうちに、自然とメンバーについても詳しくなります。このあたりから、人によっては班長を補佐する副班長などの役職がつくようになります。一つの作業をこなしてゆくオペレータから、工程の班全体を見渡し、生産が安全かつスムーズに行えるようにはどうすればよいかを考えるようになってゆきます。
副班長が充分務まるようになれば班長に。さらに一つの工程全体を統括する工程リーダー、さらに複数の工程を管理する工程管理者などの役職についてゆきます。大きな職場の工程管理者は、数百名の部下を統率する要職です。
班や工程を統括する意外にも、スキルアップの道はあります。時間をかけて経験を積み、特定の業務についてのエキスパートを目指すことだってできるんです。たとえば設備のメンテナンスは高度な専門職。モノづくりの現場ではどこでも喉から手が出るほど欲しい貴重な人材です。一昔前の「職人さん」のように、一つの道を極めてゆく。これもモノづくりのお仕事の到達点の一つです。
数百、数千の部品を遅滞なくラインに送り込み、適切な手順で組み立て、検査を行い、高品質の製品を日夜作り続ける。そこには高度な知識と緻密な段取り、平準化された作業など、とてつもないノウハウが詰め込まれています。モノづくりは単なる単純作業の集積ではありません。さまざまな役割の人たちが力を合わせ、知恵をしぼって、一つの製品を世に送り出しているのです。